社員・従業員として雇われて働く場合、多くの人が加入する保険の一つに「雇用保険」があります。加入には「31日以上雇用される見込みがある(期間の定めなく雇用される)」「1週間の所定労働時間が20時間以上である」ことが条件となるため、所謂フルタイム正社員以外に、パートやアルバイトなども対象となるケースが多くなっています。
そもそも雇用保険ってなに?
雇用保険の目的は、失業した労働者の生活を支えるとともに、求職活動を支援し再就職を促すことにあります。一般的には、失業給付(「基本手当」とされています)を受け取れる制度として知られているでしょう。
基本手当を受給するには、以下の条件を満たす必要があります。
・働く意思と能力があり、かつ積極的に就職活動を行っていること。
・退職日以前の2年間に、雇用保険の被保険者期間が通算12ヶ月以上あること。
※倒産や解雇などの理由で退職せざるを得なくなった場合は被保険者期間の基準が「1年間に通算6ヶ月」となることがあります。
なお、この場合の「失業」とは、働く意思があり、働くことの出来る能力があるにも関わらず仕事が見つからない状態を指します。その為、出産や子育て、介護、病気療養などで、すぐに働く事の出来ない人は、雇用保険上では失業とならず、給付を受けられない可能性がある点に注意が必要です。ただし「すぐには働けないが療養が終われば・出産後しばらくすれば働ける」という場合には、失業給付の受給期間延長が認められる場合があります。給付支給については、自分で判断するよりもハローワークに相談すべきでしょう。
雇用保険 基本手当の受給申請
基本手当の受給は失業者が自ら申請しなければなりません。自分の住所を管轄するハローワークに出向き、以下の書類を提出しましょう。
・離職票1及び2
退職後に前職の会社から受け取ることとなります。万全を期すならば、退職前に人事担当者などに発行時期を確認しておきましょう。なお、退職後の健康保険の切り替えなどで離職票が必要になる場合があるので、ハローワーク提出前にコピーを取っておくと安心です。
・雇用保険被保険者証
入社時(雇用保険加入時)に発行されます。会社によっては、離職票と共に渡される場合もあります。
・証明写真2枚
・運転免許証または写真つきの住民基本台帳カード
・自分名義の通帳
不備がなければ受給資格が認められ、7日間の待機期間終了後から給付金の支給が開始されます。その間、雇用保険制度の説明会や各種の求職活動などを経て、離職票提出後1ヶ月ほどで初回の給付が振り込まれます。なお、退職理由が自己都合であった場合は、7日間の待機期間の後に3ヶ月の給付制限が課せられます。給付金の振り込み開始は4ヶ月後からとなるので注意しましょう。給付の期間は、被保険者期間や年齢、退職理由などによって異なります。詳しいことはハローワークに確認をしておくと安心です。
2014年11月の日本の完全失業率は3.5%と、世界的に見れば低い部類に入ります。しかし求職者の動向と実際の求人が噛み合っているとは言えず、ある業界は人員過剰であるのに他業界は人手不足、という事態も珍しいことではありません。仕事を求める求職者と人材を求める事業所が、お互いにとって利益となる就業が出来る様、雇用保険を充分に活用して求職活動をしていきましょう。