酒は百薬の長と言っても、飲みすぎはもちろん毒となる。
今、男性を中心に高齢者のアルコール依存症患者が増えており、問題となっているようだ。
アルコール依存が進むと認知症のリスクが高まることも懸念されている。
退職や死別をきっかけにアルコール依存症になる人が多い!?
定年退職や配偶者との死別をきっかけに、高齢者のアルコール依存症が増えているという。
静岡県在住の70代の男性は、中学校の校長を勤め上げ、退職した後は今まで1日1合だった日本酒の飲酒量が3合を超え始めたという。
夕方から飲み始め、食後もまた飲むという生活を送るようになったようだ。
3年前の正月には、真昼間から酒を飲むうちに体が痙攣しはじめ、救急車で運ばれたという。
今では地域のボランティアや家庭菜園など新たな活動に精を出しているという。
仕事熱心な人ほどアルコール依存症になりやすい!?
仕事一筋で趣味もない人ほど、アルコール依存症になりやすいようだ。
定年退職をするとやることがなくなり、地域に友人も居ないため、ついつい酒にはしってしまう人が多いようだ。
もともと現役時代から酒でストレスを解消していた人ほど危ないという。
アルコール依存症の専門治療施設として日本最大の久里浜医療センター(神奈川県横須賀市)の松下幸生副院長は、「高齢者のアルコール依存症は体の衰弱や認知症のリスクが高まる。」と語る。
もともと体の機能が衰弱し始める年代で、酒びたりで運動や栄養が不足すると、筋肉や脳の衰えに拍車がかかることとなる。
介護が必要になれば周りの家族にも大きな負担となるため避けたいところだ。
アルコール依存症になる前に医者に相談を…。
ひょっとしたらアルコール依存症? |
(過去6ヶ月に以下のことがあったか)
▼暮らし ①1日3食、規則的に食べない ②二日酔いで約束をすっぽかした ▼体調 ③糖尿病、心臓病などを治療中 ④酒が切れると発汗や手の震え ⑤酒を飲まないと寝られない ▼意識 ⑥酒をやめなければと感じた ⑦飲まない方が生活が良くなる ▼飲み方 ⑧家族に隠れて酒を飲んだ ⑨朝酒や昼酒が何度かある ⑩飲まなければ良い人といわれる
・4項目以上当てはまる⇒依存症の疑い ・1~3項目⇒要注意 ・0項目⇒正常 |
依存症のチェックリストを参考に自分や家族に心当たりがないか確かめて、場合によっては酒を断つことが重要になってくる。アルコール依存症になるまえに、なるべく早くに専門医にかかるようにすることが重要だ。
一旦依存症になると、生涯にわたって断酒を続ける必要がある。
もし他人に酒を勧められてもきっぱりと断る努力を行うこともアルコール依存症から脱出する近道となるだろう。
【「日本経済新聞」より一部抜粋。】