障害のある子どもに放課後を過ごす場を提供する「放課後等デイサービス」が全国で広がっており、事業所数は制度導入の2012年度から2倍以上の約5800箇所となっている。
生活能力を高める訓練に力を入れている施設がある一方、新規参入の増加により職員やサービス自体に質のばらつきが懸念されている。
放課後等デイサービスで行われていることって?
放課後等デイサービスでは児童福祉法に基づいて、都道府県の指定を受けた事業者が、主に小学生から高校生までの障害のある子どもに、放課後や長期休暇中の居場所を提供し、生活能力向上の訓練などを行うサービスを提供している施設である。
その放課後等デイサービスが近年急増しているが、サービスの質にばらつきがでているようだ。
放課後等デイサービスで児童が生き生きと楽しむことも。
大阪府福島区の放課後等デイサービス施設「わくわくエジソン福島教室」では、貼り絵カレンダーを通じて協調性や継続性を学ぶサービスを提供するなど行っている。
8月はひまわり、10月はハロウィーンなど、月ごとの絵柄も子どもらが発案し、模造紙に下書きを描いて、様々な色の折り紙をちぎって貼り付けていく。
軽度の広汎性発達障害を抱えている男子児童は、「みんなと協力する作業は楽しい。」と語っていた。
京都市右京区の施設「にじいろ」が力を入れるのは「外出療育」で、工場見学や湖水浴などの屋外活動に加え、お菓子作りの作業でも子どもらが材料の買出しに出かけている。買い物経験を積むことで勝手に商品を持ち出したり、レジで混乱するのを防ぐ試みとなっている。
これらのサービスは、知的障害や発達障害のある学齢期を迎えた子ども向けの専門施設を求める保護者の切実な声から児童福祉法の改正により制度化された。
サービスが不十分な施設も散見されている!?
楽しみながら訓練を行うなど十分なサービスを行っている施設がある一方で、延々とDVDを見せ続けるといったサービスが不十分な施設もあるようだ。
このため、厚生労働省は4月にもサービスの質を確保するべく、職員の配置や子どもの状況を親に伝えているかどうかなど43項目のチェックリストを設けて運用指針を制定した。
ただ、これだけで完全に解消されるというわけではない。
行政側が不定期で見回りを行うなど、実際の施設をチェックする体勢を整えることが重要になると考えられる。
【「日本経済新聞」より一部抜粋。】