自動車業界で女性が働きやすい環境にするための動きが拡大しつつあるようだ。
妊婦でも座って作業ができるようにしたり工具の素材を軽くするなど女性目線ので改善がなされている。
少子高齢化で労働力が減少するなか、女性の社会進出と活躍に期待がされており、より活躍してもらいやすい環境へのシフトが始まっているようだ。
女性の社会進出がモノづくりの世界でも!!
トヨタ自動車グループのアイシン精機は変速機などの部品を作る西尾ダイカスト工場(愛知県西尾市)に、「女性が働きやすいモデルライン」として、通常より一回り小さくて軽い手押し車を用意し、女性でも作業道具を運びやすいように工夫した。
また、外部との出入り口には体が冷えにくいように他には見られない風除けのためのカーテンが取り付けられている。
重たい金属の補修も女性が手がけるが、金型は1~3トンあるため簡単に女性だけでは回転させることができない。そこで、ここではモーターを取り付けて自動で回転するように変えた。
自動車の排気管を生産する部品大手、三五(愛知県みよし市)では、女性たちが操るのが排気管部品を加工する棒状の工具では通常約5キログラムとなっているが、女性には重過ぎるため中を空洞にする工夫を行い、重さを約3分の1にすることができた。
約1500人分の現場作業員の中の約50人が女性という環境で、これからも女性従業員を増やしたい考えだが、妊娠をすると辞めてしまったり、事務系に移ってしまったりしていた。
しかし、働き続けたいという女性たちの声も多かったため、妊婦や産後の女性でも働きやすい生産ライン作りに乗り出したようだ。
座ったままで楽に作業ができるように、作業台の高さなどを調整し、部品の入った箱も、座ったままのペダル操作で移動できるようにした。
棚がスライドする方式を導入。
豊田自動織機は部品が入った棚が自重で作業者の手元へスライドする仕組みを導入しており、これまで身長が低い女性だと、棚の高い場所に置かれた部品を取り出す際に爪先立ちになることが多く取るのが楽ではなかったが、その必要がなくなるようだ。
スイッチを手元にして簡単に。
日産自動車は横浜工場(横浜市)で、女性従業員にどの作業が難しいかを聞き取りし、深刻度や緊急性によって順位付けして見直してきた。
その成果が、金属を成形するために使うプレス機の金枠を、鉄製からアルミ製に変えて軽量化したことで、女性が金枠を移動させる負担を軽減した。
また、設備を操作するスイッチを頭上から手元に下げることで、小柄な女性でも作業しやすいように改善された。
今後、横浜工場での効果を検証した上で、他の工場にも同様の仕組みを導入していく方針だ。
欧米や中国では女性が自動車工場で働く姿は決して珍しくないが、日本では自動車工場で働く女性は少なく、数%に留まっている。
人手不足が広がる中、女性の労働力の拡大のために各社は今後、こうした仕組みの導入を拡大していきたい考えだ。
【「日本経済新聞」より一部抜粋。】