空気中に細かな水粒が浮かぶことで視界を塞ぐ「霧」。
京都府亀岡市(亀岡盆地)や宮城県仙台市(仙台平野)は日本における霧の街として知られています。また北海道釧路市は年間100日を越えて霧が発生する霧の名スポットです。
そもそも霧とは何?
大気の中に細かな水滴が浮かんでいる状態というと、多くの人は雲をイメージするでしょう。
実は霧と雲には違いがなく、雲が地表を覆った状態を霧と呼びます。
例えば山にかかった雲は麓から見れば「雲」となりますが、山中で雲がかかっている場所にいる人にとっては「霧」となるのです。
また気象観測の場においては、視程が1km未満のものを「霧」、1km以上10km未満のものを「もや」と呼んで区別しています。また陸上で視程100m未満・海上で視程500m未満の場合は「濃霧」とされます。
なお水粒ではなく砂埃やちりなどの乾いた微粒子が原因で視程が遮られるものは「煙霧」、煙霧の原因が明らかな大気汚染である場合は「スモッグ」と呼ばれ、通常の霧とは区別されています。
大都市の霧は減少傾向に
首都圏や大阪近郊など大都市では、近年、霧が観測されることは滅多にありません。
都市化に伴う緑地帯の減少による湿度の低下や、ヒートアイランド現象による気温の上昇によって、霧が発生する条件が揃わない事が原因と見られています。
また霧の凝結核の一つともなる大気中の汚染物質が環境意識の高まりにより減少したことも理由の一つと考えられるでしょう。産業革命による大気汚染から、かつて「霧の都」と揶揄されたイギリス・ロンドンは、浄化の取り組みが実を結び霧の発生回数が大きく低下しました。
なお仙台市のように政令指定都市であっても地理的な要因で霧が多発する地域では、それが街の特徴となっています。
文学上、霧は秋の季語とされていますが、実は年間を通して発生しています。
スモッグや煙霧ではない自然現象としての霧に遭遇した時には、幻想的な風景を楽しむ余裕を持ちたいですね。