年6月に法律ができて準備が進められている「医療事故調査制度」だが、一体どういった制度なのだろうか。
病院側の「良識」に支えられている制度!?
まず、この医療事故調査制度についてですが、全ての事故を調べる制度ではなく、病院が事前に想定しておらず、患者に説明していなかったような事態がおき、患者が死亡した場合のみが対象となります。調べる方法の流れとしては、病院がまず、第三者機関である「医療事故調査・支援センター」に届け出た上で、病院側が院内調査を行う。そして報告書をつくり、患者の遺族とセンターに知らせる。原則として、病院側は口頭であったり、報告書を見せるなど、遺族が望むかたちで説明するよう努める必要がある。報告書を遺族に渡すかどうかは、病院が決められることとなっている。
これは、裁判で訴えられたときの心配をした医療側の一部が反対したため、このような結果となった。また、もし遺族が病院側の調査内容に納得できないといった場合には、センターは病院の調査が妥当かどうかを独自に調べて、その結果を遺族と病院に知らせることになっている。しかし、もし病院側が「事故ではない」と判断して調査をしなかった場合に関しては、遺族がセンターに調査を要求することはできなくなる。この制度が活用できるかどうかは、病院の「良識」に委ねられているといえる。
現在において、各地の病院では死亡事故が相次いでおり、内輪の調査だけで済ませているところも多々あるようだ。病院側が有利なような制度ではあるが、第三者期間を通じて、透明性の高い調査によって結果を共有することができるようになれば、事故の再発を少しでも防げるようになるのではないだろうか。
【「朝日新聞」より一部抜粋】