年金だけでは暮らしていけない。
少子高齢化が顕著になっている現代においてはこうした声が絶えない。
生活に困った人を生活保護の手前で支える生活困窮者自立支援制度が昨年4月に始まり自治体には相談窓口が設けられたが、高齢者の姿が非常に目立っているようだ。
働かないと生活できない高齢者が増えている!?生活困窮者が多い日本。
「年金だけでは行き詰る。3万円ほどがもらえる仕事はないか?」
そう相談していたのは大阪市淀川区の自立支援制度窓口に相談をしていたのは60代後半で歯科関係の仕事を退職した、現在73歳の男性だ。
退職金はなく、これまでの蓄えは妻の医療費で底をつき、今は妻を亡くし、国民年金だけで一人暮らしをしている。
自宅マンションの管理費などを引くと生活費は4万円台しか残らず、食事の回数を減らすなどして生活をしてきた。
ただ、生活保護には抵抗があったため、掃除や警備の求人に問い合わせたものの、職は決まらず困窮していた。
そこで、淀川区の広報紙で生活困窮者自立支援制度を知り、昨年6月には週1回、チラシを配る歩合制の仕事が決まったが、8月分の給料は約1万4千円と希望額には届かなかったが、「なんとか一息ついた」と安心していたようだ。
小島拓也相談支援員は、「70代、80代の就労希望者が多く、意欲ある高齢者の働く場をどうつくるかが課題だ」と話していた。
川崎市が2014年度にモデル事業として取り組んだところ、高齢者からの相談が数多く寄せられたようだ。
そこで、スタッフが就労先を探し、独自に見出した求人が1千件となった。
相談への対応は自治体間で差が出ている!?
・相談件数は自治体間で大きな差が出ている。
人口10万人当たりの月平均件数 | 政令指定市・中核市名 |
30以上 | 横須賀・相模原(神奈川)・大阪 |
30未満~20 | 盛岡(岩手)、長野、静岡、豊橋(愛知)、豊中(大阪)、那覇(沖縄) |
20 | 厚生労働省が定めた目標 |
20未満~15 | 秋田、郡山(福島)、宇都宮(栃木)、前橋・高崎(群馬)、名古屋・岡崎(愛知)、東大阪(大阪)、高知、北九州・久留米(福岡)、宮崎 |
15未満~10 | 札幌(北海道)、仙台(宮城)、さいたま(埼玉)、柏・船橋(千葉)、横浜・川崎(神奈川)、八王子(東京)、新潟、金沢(石川)、岐阜、大津(滋賀)、堺・高槻(大阪)、神戸・尼崎(兵庫)、奈良、岡山・倉敷(岡山)、高松(香川)、松山(愛媛)、下関(山口)、大分 |
10未満 | 旭川・函館(北海道)、青森、いわき(福島)、川越・越谷(埼玉)、千葉、富山、浜松(静岡)、豊田(愛知)、京都、枚方(大阪)、西宮・姫路(兵庫)、和歌山、広島・福山(広島)、福岡、長崎、熊本、鹿児島 |
自立支援窓口の設置場所や住民への周知方法は自治体によって異なっている。
川崎市の窓口「だいJOBセンター」はJR川崎駅前のビル内にあり、週1回の出張相談も行っている。
大阪市天王寺区にある「サポート天王寺」では、インターネットカフェに名刺サイズのチラシを置いており、一目を気にせずポケットに入れられるように対応している。
スタッフの専門性を保つために、社会福祉協議会やNPOなどに窓口業務を委託する自治体が多い一方で、生活保護と同じ場所で相談を受けている自治体もある。
厚生労働省の担当者は、生活困窮者に届くPR活動や相談者を見つけれくれる連携先を増やすことの大切さを引き続き自治体に伝えていきたいとしている。
【「朝日新聞」より一部抜粋。】