古くからあった巡礼は、元々は僧侶や貴族階級の“願掛け”として行われてきた。当時は修行という意味合いもあり、その道のりは険しいものであったようだが、現代では、あえてその苦行を行う四国八十八ヶ所霊場の“通し打ち”などを求める人や、旅行感覚で巡礼ツアーをする人が増えているそうだ。
中高年に人気の四国八十八ヶ所霊場
巡礼は平安時代に参拝の様式が決まり、庶民の間で巡礼が流行したのは江戸時代になってからである。また、個人の旅行が規制されていた時代では、巡礼は観光に出かけるための口実でもあった。各地では続々と巡礼ルートが開かれ、現在では約300の巡礼ルートが存在するそうだ。
例えば、北海道の三十三観音霊場では、日本最北、最長の霊場とされており、その長さは2300kmにも及ぶ。北海道をほぼ一周するルートで組まれている。山形においては、山形百八地蔵尊霊場がある。煩悩と同じ数の108つの寺を巡り心身の安寧を願う。九州においては、九州西国三十三観音霊場がある。各札所の開基は、インドや中国、朝鮮からの渡来僧によるものが多いようだ。やはり中でも有名なのは、四国の四国八十八ヶ所霊場だろう。
日本でもっともメジャーな巡礼の地とされていて、非常に中高年から人気が高いという。ちなみに、昨年は開創1200年の記念にあたる年だった。巡り方に関しては、一番寺から巡る「順打ち」に、八十八番寺から巡る「逆打ち」、全ての札所を続けて一度に巡る「通し打ち」がある。全行程は1200~1400kmに及び、昔からの「歩き遍路」をする人も居れば、バスやタクシーを利用したツアーがたくさん用意されており、気軽に誰でも巡礼を楽しめるようになっている。
興味がある方はお近くの霊場を探してみてはいかがだろうか。