公共教育研究会(大阪市)が認知症のプログラム「学習療法」で新しいビジネスモデルを描いているようだ。
慶応大学と共同でこの夏まで1年間実施した調査によれば、介護度が「1」近く抑えられることが実証されており期待が高まっている。
簡単な学習で介護度が下がる!?
1桁の簡単な計算や童謡を歌うほか、昭和の暮らしについて読み聞かせることで脳を活性化させる学習療法が認知症の介護費削減に繋がるとされている。
2人に対して1人の支援者がついて、学習結果をフィードバックするという。
介護施設などで1日30分程度、週3日以上のプログラムを1人あたり月額2160円で提供している。
介護現場では自分で食べられるのに食べさせたりしているといった行動が目立っており、それが認知症に繋がるという意見もある。
認知症の入居者は進行につれて無口になったりふさぎ込んだりと放置しているとますます症状が進んでいくが、今回の学習療法などにある計算などを通じてできることを認めることで自己肯定感が生まれ、結果的に機能の維持に繋がるとされている。
介護サービスのサンハート(東京・葛飾)が運営する有料老人ホーム「シルバーサポート 星にねがいを」では、05年9月から学習療法を導入しており、劇的な改善はないがシニアで7~8年は現状維持に繋がっている人も居るようだ。
ただ、介護進行を抑制すれば施設の収入が少なくなるという矛盾もあるが、公文の学習モデルではこの課題の解決も目指す。
介護費用を削減できれば、自治体が支払う成功報酬の目安となる。
介護費の削減効果は1人あたり20万円との試算が示されており、仮に1万人が受ければ1年間で20億円の削減になる。
介護度の抑制は介護士の負担軽減にも繋がるとし、公文のビジネスモデルは介護士離職の減少にも繋がると見込まれている。
【「日経MJ」より一部抜粋。】