2007年の東京マラソンをきっかけに、マラソン・ランニングブームが日本中に広がりました。現在も全国各地で市民マラソン大会が次々と開催されており、大きな人気を博しています。
マラソンの距離とは?
「マラソンで走る距離は何キロ?」という問いには「42.195km」という答えが一般的でしょう。所謂フルマラソンと呼ばれるこの距離が始めて採用されたのは、1908年の第4回ロンドンオリンピックでした。現代のマラソンの始まりは1896年の第1回アテネオリンピックに遡ります。古代ギリシャの故事にちなんで始められたこの競技は、しばらくの間、約40kmという大まかな距離のみ定められており、大会によって距離がバラバラとなっていました。その後、1924年の第8回パリオリンピックにて正式に競技距離が統一されることとなり、前述の42.195kmが採用されたのです。
現代では基本的に競技としてのマラソンはフルマラソンを指しますが、市民参加型のものにおいては、ハーフマラソン(21.0675km)を始めとする短い距離であっても、道路上で行われる長距離走をまとめて「マラソン」と呼んでいます。日本のマラソンにおいても、10km・20kmといった完走が容易な距離のコース、地元の名所を繋いだ観光コース、琵琶湖一周などの地域性を活かした特別コースなど、様々な距離の大会が開催されています。
市民マラソンの課題
各地で賑わいを見せるマラソン大会ですが、同時に様々な課題も浮き彫りになっています。まず何よりも、マラソン大会の開催にはお金がかかるということです。例えばブームの火付け役となった東京マラソンの開催費用は、事前イベント等を含めて約22億円。ランナー一人につき一万円の参加費(全体でおよそ4億円)では、とても賄いきれません。その為、関連企業からの協賛金やグッズ販売、都の負担金が主な収入源となっています。こうした副収入無しに大会の運営はままなりませんが、地方のマラソン大会は協賛企業が少なく、苦しい運営を迫られることも多いのです。
また大会開催による交通規制により周辺住民の日常生活に不便が出るという点も指摘されています。東京マラソン開催日は宅配便業者が一部地域の配達時間指定に制限を設けるなどの対応が行われているのです。更にマラソンは公道を使用するという性質上、全域を隙なく警備するという事が非常に難しくなっています。2013年にはボストンマラソン(アメリカ)でテロが起こり、関係者に多数の死傷者が出る事件が起こりました。また沿道からの参加者への妨害行動や、参加者自身の不正行動(途中でタクシーや電車を使ってタイムを短縮するなど)も問題視されています。
市民マラソンは周辺の飲食店や交通機関などへの経済効果が高いと言われており、 マラソン大会開催で注目を集めた町おこしなども次々と計画されています。好悪含めた様々な影響を考えながら、マラソンブームを見つめて行きたいですね。