企業倒産の小康状態が続いている。
東京商工リサーチがまとめた5月の倒産件数は前年同月比7.3%減の671件と今年に入ってから最少という結果だった一方で、福祉・介護やッ雑貨卸の倒産が増えるなど業種によっては増えていた。
特定の業種の倒産が増え続けている!?
倒産件数は金融機関の融資姿勢が緩和され、急に資金繰りに行き詰る企業が少なくなったことから、倒産件数が最少となったと考えられる。
件数の7割強は従業員数5人未満の企業で、負債総額も前年同月比9.3%減となった。
「農・林・漁・鉱業」「建設業」「製造業」「卸売業」「小売業」「金融・保険業」「不動産業」「運輸業」「情報通信業」「サービス業ほか」の10産業のうち、倒産件数の増加・減少は5産業ずつで、卸売業は14%、小売業も28%とそれぞれ減少した。
卸売業のうち、衣料雑貨などを扱う「繊維・衣服等卸売業」で23件の倒産が発生していたが、販売不振のしわ寄せが卸売り業者に起きているといえる。
一方、老人福祉施設・介護事業の倒産件数は3ヶ月連続で増加しており、この背景には介護報酬引き下げなど規制や人材不足による影響で厳しい経営環境に追い込まれているといえる。
労働者派遣業も9件と増勢だった。
改正派遣法施行で届出制をなくして許可制に一本化された今、一定の資産規模や派遣社員の教育といった条件を満たすのが難しいと判断され、事業停止などに踏み切る事業者が増えたことが要因のようだ。
今後も三菱自動車の燃費データ不正問題や中国経済の失速といった懸念材料があり、今夏以降の倒産件数は徐々に増加傾向にあると見られている。
【「日経MJ」より一部抜粋。】